マスコミで有名な宅重先生は3Mixを使った治療を健康保険で行ってみえますし、そうした事を健康保険の範囲内で行っている歯科医院は他にも存在することから当医院のダイレクトボンディングを健康保険以外の自由診療として行わせて頂いている事に驚かれる方もお見えになります。確かに3Mixを利用しているという点では宅重先生と共通していますが、それ以外は宅重先生の治療方法とは全く異なっているからです。
まず注目して頂きたい事として宅重先生は3Mixを歯の中に封じ込めるから虫歯は取りきらなくても良いという治療方法なのです。虫歯治療の目的の一つは虫歯を取る事ですが、それを徹底しない宅重先生の治療法は常識では考えられない方法だとも言えます。その反面下手に虫歯を取りきって神経を抜く羽目になるよりはましという考えも出来ますので非常識だと言う理由で一概に批判は出来ません。しかし敢えて問題点を挙げれば虫歯をどこまで残しても良いのか、それに対して3Mixをどのように封じ込めると良いのかが非常に不透明な治療法だと言えます。更に穿った見方をすれば3Mixを虫歯の中に封じ込めるという手間がかかる反面虫歯を取るという手間を一部省けますから健康保険の治療に組み込む事も決して無理難題ではないかもしれませんし、万が一にも痛みが出ても健康保険で後処理が出来ますので医院にとってもリスクを背負う必要がないというよく考えられたビジネスモデルだとも言えます。
一方当医院では神経と引き換えという状況に直面しない限り虫歯を全摘出をしています。それも健康保険で行われている様に健康な歯質共々虫歯を削り取る様な事もしていません。あくまでも顕微鏡下で確認しながら注意深く虫歯だけを掻き取っているのです。こうする事によって歯を削る量を少しでも減らし、治療時の痛みが神経を無駄に刺戟して治療後に痛みが出ない様にしているのです。この点が十把一絡げの健康保険の方法や虫歯を深追いせず残してしまう宅重先生の方法とも異なるのです。当たり前の事ですが、歯の健康な部分を極力傷つけない様に虫歯をすべて取るのは大変手間がかかるのです。
そうして虫歯を取ってみると入り口が狭く中で広がる壷の様な形の穴が出来る事が多いのですが、そうした穴に金属の詰め物を作ってもはめ込む事は出来ません。はめ込むなら少なくとも入り口を大きく広げてやる必要があります。また金属が安定して歯の穴に留まっている様にするためとか、金属を作り直すのは大変ですから虫歯になりそうな部分もついでに詰めておくなどの理由で更に歯を削らなければなりません。つまり健康保険でよく使われる治療方法では歯の削除量を減らすにも限界があるどころか健全な部分もかなり犠牲にしなければなりません。それを避けるためにダイレクトボンディングという方法を使います。ダイレクトボンディングはていねいに歯の中へ樹脂を詰め込んで硬めてしまう方法です。健康保険でも樹脂が用いられることがありますが、健康保険の場合は詰めやすい場所を更に詰めやすくする様に歯を削ってから行いますから比較的簡単に済みます。ところがダイレクトボンディングの場合は詰め難い場所でも詰める都合で歯を削ったりせずに行います。そのため顕微鏡を見ながらの細かい作業になります。これが健康保険では出来ない第2の理由です。
まとめますと、当医院では健康な部分を出来るだけ傷つけない様に虫歯をすべて取りきるために時間と手間を掛けているという点です。健康保険の治療は麻酔して虫歯を機械でざっくり取ってしまいますし、宅重先生の3Mix法は虫歯を深追いしません。つまり健康保険の方法だと神経を抜くリスクが高まりますし宅重先生の方法だと虫歯を残すリスクはありますが神経を抜くリスクを減らせます。ただ些細な事とは言え宅重先生のやり方だと3Mixを歯の中に封じ込めておく事も気になります。特に宅重先生の処方の中にはプロピレングリコールが含まれています。プロピレングリコールの毒性は低いとは言われていますが出来れば避けたい物質です。一方当医院では歯への侵襲を抑えながら虫歯は原則完全除去します。3Mixもプロピレングリコールを使わずに水で練り最終的に洗い流してしまいますから低侵襲ローリスクです。
そして詰める物の都合や詰める手間を理由で歯を削ってしまう事のないダイレクトボンディングで仕上げているのが健康保険では対応が難しい理由です。